仏事のイロハ (「仏事のイロハ」 著者:末本 弘然 発行:本願寺出版社より)
一、 お仏壇と荘厳
二、 葬儀と中陰
三、 お墓と納骨
四、 年忌法要・行事
五、 門徒の心得
お仏壇は死者を祀るところ? ・・・・・【安置する意味】
人口の流動化や核家族化などの社会情勢の変化によって、最近では、何世代にもわたって同じ家に住むことがめっきり減り、次々と新しい家が建ち、また引越しも頻繁に行われています。そうして移り住んだ家には、特に若い世代を中心に昔はどの家にも
必ずあったお仏壇が、安置されていないケースが増えてきました。
「なぜ、お仏壇がないのですか」と尋ねてみると、けげんそうな顔で「まだ誰も死んでいませんから・・・」とか「仏壇は田舎にありますから ・・・」といった言葉が返ってきます。
"誰も
死んでいない"とは、考えてみれば妙な話で"私"につながる数限りないご先祖の方が死んでいったはずです。
それはさておき、こうした言葉の裏にはお仏壇が今生きている家族の誰かが死んで初めて必要になるものであり、ご先祖にし
ても子孫の誰か一人(多くの場合、長男)が"面倒を見れば"事たれり、といった認識があるようです。さらに言えば、お仏壇は"死者や先祖をおまつりするためのもの"と思っているのです。
しかし、はたしてそうでしょうか。お仏壇というのは、文字通り"仏さまをご安置する檀"のことです。仏さまとは、言うまでもなくご本尊である阿弥陀仏(如来)のこと。ちょっとしたことにこだわり、悩み、自己を見失いがちになる私をしっかりと抱きとめて、けっして崩れることのない安らぎを与えて下さる阿弥陀様です。お仏壇はそうした私の心の拠り所となり、家庭の精神的基盤となって下さる阿弥陀様をご安置するために設けるのです。
いじめ、家庭崩壊など心の問題が山積している 昨今、家族そろって阿弥陀さまに手を合わせることが、どれほど心豊かな家庭生活につながるかわかりません。ですから「田舎にあるから・・・」とか「長男だけでよい」とか言わず、独立した家庭であれば、お仏壇を安置するようにして下さい。
ポイント | @お仏壇はご本尊・阿弥陀仏を安置する所。 |
Aお仏壇は死者のためでなく、生きている私のためにある。 | |
B家ごとにお仏壇を安置しよう。 |
ポイント | @お仏壇の中にご先祖が入っているのではない。 |
Aご先祖が還ったお浄土を偲ぶ。 |
ポイント | @「友引に葬儀をしてはいけない」というのは、まったく根拠がない。 |
A葬儀の日取りは導師を務める住職の都合を聞いてから。 |
ポイント | @死後四十九日間を中陰といい、四十九日目を満中陰という。 |
A「満中陰が3ヵ月にわたるといけない」というのは迷信。 |
ポイント | @お墓で会うのではなく、お浄土で会う。 |
A気兼ね無用なのがお浄土。 |
年忌表 |
年忌法要 |
1周忌 |
3回忌 |
7回忌 |
13回忌 |
17回忌 |
25回忌 |
33回忌 |
50回忌 |
死亡からの年数 |
1年後 |
2年後 |
6年後 |
12年後 |
16年後 |
24年後 |
32年後 |
49年後 |
ポイント |
@法事を勤める年は、A回忌であれば(A-1)年後。 |
A法事は、私が仏法を聞く行事。 |
ポイント |
@報恩講は、親鸞聖人のご恩に感謝するもっとも重要な法要。 |
A何はさておきお参りすること。 |
ポイント |
@お布施は、仏法を慶ぶ気持ちから上げるもの。 |
A僧侶への御礼ではなく、如来さまへの感謝。 |